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2008-10

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Inside of Arm

※サイト内NOVELの[The cage of arms]から続く話です。
  藍日です。まだですが18禁注意。←笑。



[ Inside of Arm ]
ぼんやりと、心がどこか現実と乖離した状態で見上げていた月が、ふいに揺れた。

「……藍染?」

己を抱きこんでいた男が自分を抱き上げたのだと認識したときには、すでに藍染は自分を抱えてゆっくりと広い室内を歩み出していた。
そうして目的の場所に辿り着くと、軽い身体をことさら丁寧にそこに下ろす。
「藍染?」
そこはこの部屋に入ったときにも酷く目を引いた、大きな天蓋付きのベッドの上だった。
特注品と思われるそのベッドに優しく横たえさせられ、日番谷は怪訝な表情で男を見上げた。

「…オレ、まだ別に眠くは――――」
そう言い掛けた言葉は、だがそれに藍染が驚いた様子だったので最後まではいえなかった。
「な、なんだよ…」
「いや、君って子は――――」
藍染が笑いながらそういうのに、極まりが悪くて思わず睨みつける。
「だって、お前が。……っ、いつも早く休んだ方がいいって言ってたろ!」

かつて護廷で同僚としてあったとき、昼間の執務中はともかく、就業後――――お互い残業で遅い時間にたまたま顔を合わせたりすると、藍染は決まってそう言った。
体躯は幼いままなのにワーカーホリックな己を心配しての言葉を、だが当時自分は素直になれず子供扱いするな、と反発していた。
今はあのときの気遣いが真実だったのかも分からないが。

「……ホントに、君は。 ―――――可愛いね」

藍染への非難と戸惑いの残る日番谷の顔を見下ろしながら、藍染は微笑んだ。

「さっき、君は僕のお嫁さんになるんだと言ったよね?その意味が分からないのかい?」
まるで本当の幼子に言って聞かすように、藍染は言った。
 
「――――今夜は、初夜になるんだよ?」

「………は?」

言われた内容が、日番谷には理解できなかった。
いや、理解するのを頭が拒否しただけかもしれない。
だがそんな日番谷に藍染は酷く満足げに口角を吊り上げた。

「そうじゃないかとは思っていたのだけれど、事実として目の当たりにすると男としてはやはり嬉しいものだ。君は、本当に何も知らない清い肢体なんだね」
日番谷の頭を挟みこむように両手を付いて、言いながら覆い被さってくる男の瞳には穏やかな物言いを裏切る剣呑な光が宿っていた。

「――――そうして死ぬまで、君は女はおろか僕以外の男を識らずに生きてゆくんだ……」

髪を上げ、眼鏡を外した藍染も日番谷には別人のように思われたが、今、己を組み敷き目を眇めて見下ろしてくる男もまたそれとは違う男のようだった。

「……あ」
太い、大人の男の指が、日番谷の死覇装の合わせに掛かる。
その段になってようやく彼は己が身に起きようとしている事態を理解した。


――――全く、 間の抜けた話だと思う。
此処に来てから、切れ者といわれた頭が錆び付き、軋みを上げているようだ。


自分は、微塵も考えていなかったのだ。
このような事態が起こる可能性を。

肌蹴て晒された薄い胸を大きな掌が撫で摩り、男はまだ粒ともいえない未熟な突起に口を寄せた。
唾液に濡れたその一点が空気に熱を奪われてひんやりする感覚が、軟体動物のように蠢く舌の動きとともに下肢に移動してゆくのに身体が縮こまる。
「やめろ…っ!」
気持ちが悪くて引き剥がそうと男の身体を押しても、日番谷の力ではびくともしなかった。
「…あ…っ?!」
無骨な手が割り開かれた襟を辿るように下に伸び、袴を剥ぎ取るのが分かっても、どうしようもなかった。
そうして下肢も暴かれる。
「藍染!!」
焦った静止の声を無視して、男の手は幼根を掴み握りこんだ。
「………っ…」
思わず息の呑む。
それはその幼い形や反応を確かめるような優しい動きだったが、そんな場所を誰かに晒したことも、ましてや触れられたこともない日番谷にとっては恐ろしく屈辱的だった。
「やっ……触るなっ!」

「何故?」

藍染が答えた。
その顔に、嘲りとは異なるが確かに冷ややかなものを読み取って、日番谷は震えた。
「あっ…!や…ぅっ…」
同時にそこを緩く刺激され、ビリッと電気が走るような感覚に思わず声が漏れる。
それは日番谷の初めて感じるものだった。

知識では知っている。
だが体験したことはない。
そしてそれはまだ日番谷には必要にないものだった。
――――当然自分で慰めた経験もない。

それを無理矢理、しかも馴れた男の手管で扱かれ、日番谷に逃れる術はなかった。
「…っ…は、……っ…やだっ!!」
男に押さえつけられながらも与えられる刺激から逃れようと死に物狂いに暴れる。
小さくとも渾身の抵抗に辟易したのか、藍染は一度、愛撫の手を止めて。

「怖いのかい?」
藍染は言った。

「………っ…怖くなんか、」
日番谷が乱れた呼気で反射的に否定しようとしたとき。

「――――本当は、僕を受け入れるのを恐れているんだろう?」

その声が、先ほどまでの己に向けられた熱情とあまりにもかけ離れた冷たいものを含んでいるのを明確に感じ、日番谷は藍染の顔を見た。
男の、全てを見透かすような冷酷な薄茶の瞳に一瞬で頭が冷える。
火照り始めたばかりの肌も一気に熱を奪われたかのようだ。

藍染は日番谷を見下ろして言った。

「君は、僕の気持ちを――――真意を知りたいといいながら、本当は死ぬつもりでココに来たのだろう?」

「―――――え?」

言われて一瞬、言葉が出なかった。
だがすぐに、藍染の言葉がすとんと胸に馴染む。


―――――ああ、そうだ。

     オレは最初から……。


いつだって先を見越して行動する自分が、何故虚圏で相打つ方法ばかり考えていたのか、生き残るための算段を何もしていなかったのか。
市丸に唆され、藍染が自分をどう思っていたのかを知りたいと思いながら、結局のところ自分は、最初からこの男に自分が愛されているという可能性を考えていなかったのだ。
こんな形で、自分の想いが報われるという可能性も。

―――――最初から、自分は、ここに死ににきていたのだ。


当然その先など想定しているわけがない。

自らに蓋をしていた事実に気付き、日番谷は愕然とした。
しかし藍染は追い討ちを掛けるように。

「君は、僕に偽られていたというけれど、君こそ本当に僕を見ていたのかい?
 都合のいい、自分に優しい距離間を気に入っていただけで、僕の愛情など、本当は必要としていなかったのじゃあないかい?」

「そんなことは――――」
反論の言葉を口にしようとして、だが日番谷にはその先が続けられなかった。

「残酷な子だよ、君は」
藍染が続ける。

「いつだって自分の居場所を―――――君を愛してくれる誰かを望みながら、その実、本当は愛なんてものを信じてはいないんだ。……いや、自分が誰かに愛されるという可能性を信じられないのかな」

今度こそ日番谷は反論できなかった。
幼い頃から他人に忌避され、数少ない大切なものも奪われ失い続けている自分は、人の情を信じながらも、それがいつ失われても仕方ないものと思っていた。
だから己の周りに常に壁を作った。
大切で、信頼している相手であっても踏み込ませない領域を必ず残した。
それが唯一自分を守る手段だったから。

そして、かつて藍染は、その領域を侵さず、まるで日番谷のその境界線を理解しているかのような絶妙な距離を保ったまま優しい時間を与えてくれた。

藍染の言うとおりだ。
日番谷は思った。

男の指摘通り、自分が男に求めていたのは真実の愛などではなく、己に都合のいい優しい空間だったのかもしれない。
そして藍染は、自分すら気付かなかったその浅ましい心の内を看破していたのだ。
だから求められる距離間を自分に与えることができたのだろう。

「君は孤独だ。多くの者に囲まれ慕われながら、ね。――――君の心のありようが孤独なんだ」

日番谷は反発することもなく、その言葉を受け止める。
己を見透かされていた羞恥とやるせなさに、一気に気力を奪われてしまったようだ。
彼が諦めたように目を閉じようとしたとき、藍染が囁いた。

「でもそんな――――孤独な君が好きだよ」

思わず男の顔を見上げると。

藍染は微笑して言った。

「だからもう心配ない、日番谷くん。
 君は僕に愛されるために此処に来たんだよ――――」

優しく微笑みながら、そういう男の瞳が少しも笑っていないのに気付いて、日番谷は怖くなった。
その怯えを目の端に捉えながら、それでも藍染は微笑む。

「信じられないというなら僕が思い知らせてあげるよ。
 もう嫌だといっても逃げられない。僕は君を愛しているんだからね。
 そして君も、………僕に愛されることを望んでいるんだから」

冷たかった男の口調はいつの間にか熱が篭もり、瞳は日番谷が見たこともないような色を宿していた。
それを幼さゆえに恐ろしいと思っても、しかしもう――――藍染の宣言通り、逃れる術はなかった。


+++++++++++++++++++++++++++++++


夏はエロ!!というSくらさんの力強い言葉に後押しされてアップしたけど、まだエロくなってない。
つーか藍日のエロが書きたくて、手っ取り早くおっ始められる方法はないかと考えた挙句、コレの続きからならいいんじゃね?と思って書き始めたのに、まだ突っ込んでもいない現実。
……バカじゃないのか…自分…。
でもこれから先はちゃんとエロだろ!
なのでいずれ続きをアップしたい…な…。


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田中慎一

Author:田中慎一
主腐。種死のシンアス・鰤の藍日萌え。アス受の自作ゲームを作ったりCG&SSを書き散らしたり、まったり活動中。

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